入社5年目の3月のある日、品質保証部部長とすれ違った際に突然、
「オイ、オマエ今度の7月から品証に異動してもらう事になったから、よろしく頼むぞ」と言われました。寝耳に水だった上に『なぜ7月?』と疑問に思った私は、あわてて上司に確認しに行ったところ、
「ああ、そういう事になった。4月に新人を1人つけるから、異動するまでに最低でも段取作業が出来るように教育してくれ」と言われました。
私は内心『品証に異動ってマジか~、機械触ってた方が気楽だったのにな~』と思いながら、
「じゃあ……最低限、段取作業の基本と日常作業(設備の日常点検や書類処理等)、3ヵ月間で生産する製品の測定方法、調整方法、形状確認箇所と対処法を教えればいいんですね?」と確認すると、
「おう、それでいい。あとクレーンと(フォーク)リフトの免許もすぐに取らせるから、暇を見て練習させてやってくれ。異動後の事はこっちでフォローするから、頼むぞ」と言われ、4月から新人の速成教育を行う事と、7月から品質保証部に異動する事が決まりました。
段取作業の教育は部署内の多能工化で何人かに教えた事がありましたが、高卒のまっさらな新人の教育は初めてだったので、非常に緊張しました。他の作業員なら知っている事も細かく教えなければならなかったからです。
まず安全に関する事から教えなければいけませんし(通路表示の意味、作業時の適切な手足の置き方、作業服の腕まくり禁止(火傷、引っ掻き傷防止)等)、各種工具の使い方に、クレーンの操作やリフトの運転も未経験なので操作練習からさせなければいけません。また、測定機器は精密機器なので、使用方法に各種注意点、メンテナンス方法も教えなければいけませんでした。
特に安全関係は、『何か教え忘れてないか』という不安が結局3ヵ月が終わるまで頭から離れませんでしたね。扱うものが重量物だったので、挟まれたりしたら痛いじゃすまない職場でしたから。
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