そして2番目に困ったのが、設備の段取替えを1から教える事でした。
今まで教えていた他の作業者はどれかの機械の熟練者だったので、「いつアクリル製カバーを全部閉めればいいか」など危険については教えなくても自分で判断できますし、「触っただけで何mmの六角レンチかわかる」などの個人技能を身につけていたからです。
後は機械の個別の差異を教えれば、設備の教育は終わったようなものでした。多少サイズに差があるだけで、機械の基本設計は同じだったからです。
教え方に困った私は、日本帝国海軍山本五十六閣下の格言、
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば人は育たず。
やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば人は実らず」
を参考にすることにしました。
つまり1度やって見せて、後は実践させて覚えさせるというある意味スパルタ式なやり方でした。
全ての作業を、一度注意点を言いながら私が作業するのを見学させて作業手順のメモを取らせ、次に実際に作業をさせて、覚え間違いやミスがあれば指摘して体で覚えさせ、「どの作業なら1人で出来そうか」「段取はどこまでなら1人で出来そうか」確認しながら任せて見守り、まだ自信がないという部分はまた注意点を言いながらやって見せ、次の時にまたどこまでならできそうか確認してと、少しずつ教えていきました。
こんな教え方でしたから付きっきりで教えることになり、熟練者用に立てられている生産スケジュールから遅れるのでその分は私が残業してフォローし、なんとか新人から段取手順は覚えた新人に育て上げ、7月1日に無事に異動することが出来ました。
いや、本当によく覚えてくれたものだと思います。
こうして私は「肉体的にはきつかったけど精神的には楽だった」製造部から離れる事になりした。
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