カウンセリングを受ける頃には月1回の診察になっていたので、カウンセリング担当の先生は、
「この1ヵ月で何か変わったことはありましたか?」「聞きたいことはありませんか?」「どんな細かいことでも構いませんよ?」「仕事をしていた時の愚痴とかでもいいですよ?」
と話せるように促してくれたのですが、脳が粘液に沈んでいるような感覚がして頭が回らず、まともな受け答えは出来ませんでした。
ソファーに座ると言うより沈み込んだ体勢で、「……ぁ」とか「……ぉの」と言いかけるだけで止まってしまい、まともに話せない私を辛抱強く見ていてくれた先生は、
「今は頭が回らないかもしれませんが、規則正しい生活をして、薬を飲んでしっかり寝ていれば、個人差はありますが必ず良くなっていきます、気長に治していきましょう」
と言ってくれて、
「今日は用紙をお渡ししますから、起きた時間から寝る時間まで、何時に何をしたのか書いてきて次回見せてください。起床、食事、昼寝、就寝だけでも構いませんよ。今日はお疲れさまでした」
と初回のカウンセリングは終了しました。
かろうじて「……ぁぃ」と答えて紙を受け取りましたが、それで精一杯でしたね。自分でもこんなに話そうとすると頭が回らないと思っていなかったので、とても困惑したことを覚えています。
受け取った紙を書くのも、自分の行動といっても「昼寝」や「夕食」と書くだけのものに、最初は1時間ぐらいかかっていましたね。
この時の経験が、「今自分はどういう状態なんだろう?」「うつ病ってどんな病気なんだろう?」と疑問を持ち、調べる動機になりました。
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