このようにして5年間製造部に勤めて、私なりにこの製造部の仕事を言葉にすると、仕事の中心は機械であって、作業者は機械が気分よく製品を生産できるように機械の面倒を見るのが役目だという事でした。
これを機械を操っていると見るか、機械に使われていると見るかは個人の感性によるでしょう。機械に使われていると感じる人にはストレスを感じる酷な職場かも知れませんね。
私としても思っていた機械に触れる仕事とは違いましたが、『こういうものなのか』と納得できる範囲ではありましたね。
ただ、生産→段取→生産→段取→……と途切れることなく仕事を延々と続けるのが一番生産効率がいいので、仕事が完了したり完成したりする事がなく、達成感を得る機会がないのは精神的なマイナス点でした。これは連続生産の短所ですね。
達成感を得られる、というか生産を休めるゴールデンウィーク、お盆休み、正月休みに入った時だけが本当に気が抜ける時でしたね、あれは達成感と言っていいのかな?どう思いますか?
しかし振り返ってみれば、肉体的にはきつかったですが精神的には一番楽な時期だったと思います。ただただ淡々と機械の世話をして、不良品が後工程に流れないようにすればよかったのですから。下っ端でしたしね。
5年間勤め担当機械に習熟し、製造部員として少しずつ習熟いた時、急に異動命令を受けることになりました。
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